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2013年6月16日 (日)

「私の今日」 尊老N氏へのメール < 世界最高の白内障手術 >

 610日から614日まで日経夕刊に、赤星隆幸・三井記念病院眼科部長が開発した「プレチョップ法」という白内障手術法が連載されていた。プレチョップとは、超音波で水晶体を乳化し吸引する前に、予め水晶体を細かく分割しておく手法である。現在、世界で最も普及しているのは、カナダのハワード・ギンベル医師の「ディバイド・アンド・コンカ―法」で水晶体を4つに分割し、順次乳化吸引する方法である。一体としての水晶体に超音波をかけると時間も多くかかり、いろいろとトラブルの原因となり、術後が悪い場合がある。

赤星医師は分割手法に独自の工夫をこらし、点眼麻酔だけで、手術所要時間34分、しかも水晶体の傷口が1.8mmと極めて小さいため、縫合しなくてもいい。このため手術後に乱視なることもない。時間が極めて短く、眼に負担がないため、即日歩いて帰宅できる。しかも、トーリックレンズを使用すると遠近両用の多焦点レンズを使え、全ての屈折異常を治せる、と実に結構尽めである。三井記念病院眼科では、世界でも例のない年間8000件の手術を実施できている。一般的な手術では20分以上要する。長時間の超音波は、角膜の内側の内皮細胞を傷めたり術後に角膜が濁ったり、失明に至る細菌感染のリスクも高くなる。

赤星医師は、世界66カ国(欧米、ロシア、インド、中東、南ア、中南米)でプレチョップ法を伝授してきた。サウジアラビアでの経験は、赤道直下の紫外線で水晶体がカチカチで非常に難しいタイプの手術が多いのに、4日間で160件をこなした。疲労困憊で、ホテルに用意された豪華な食事を横目にどっとベッドに倒れ込んだという。ブラジルでは進行性白内障が多く、爆発的にプレチョップ法が広まっている。白内障の状態は国によって異なりその国に適合したプレチョップ法が育っている。カナダのハワード・ギンベル医師から「赤星の手術の方がいい」と招聘され手術した。手術経過は米国の国際学会で同時衛星公開されたという。赤星医師はギンベル医師の「広い心」にいたく感銘を受けたという。94,96年には、「新しい術式部門」で、97年には「器具装置部門」で世界的権威の米国白内障手術学会で最優秀賞を受賞している

ところが日本ではどうか。赤星医師は、「(簡単な手術だから保険点数が低くなる)との批判や医学界の保守的な体質から国内では広まらない」とも、「日本国内では嫌な思いをすることが多いが、海外ではスポンジが水を吸うように貪欲に知識が吸収される」とも言っている。日本の眼科医からこのような言葉を聞くとは思いもよらないことだった。私は35日「白内障の特効薬」でNonアセテルカルノシンが処方されないばかりでなく、承認もされていないこと、313日「消えた白内障特効薬」でその薬がネット市場から消えてしまったことに関し、医療機関の独善性、閉鎖性について述べた。この時は、私Ⅰ個人の経験だけで、それが普遍的なものと確信できなかったが、医学界の独善性、閉鎖性は政・官・医一体となったものと断ずることができる

赤星医師は、「簡単な手術だから保険点数が低くなる」ことに関し、「高度な技術と設備(シャープなダイヤモンドメス、ドイツ製の手術用顕微鏡、米国製の超音波乳化吸引装置)が必要、執刀できるのは彼以外、女医一人だけである」、と述べ「一概に保険点数が低くなる」ことにはならないと言外に匂わせている。

赤星医師は、白内障手術の歴史に触れ、「BC600年頃のインドにまで遡り、長い針を眼球に刺し、濁った水晶体を眼球の奥に落としていた」。また「印象派画家モネは晩年白内障のため、景色は赤茶色に見えた。手術後(レンズ挿入はない)は青く見えるようになり、作品が一変した」、と述べている。「睡蓮」の中に黄色がかったものがあったようにおぼろげながら憶えている。Wikipediaで作例を見ると、晩年の方が「青」でなく「黄」に見えた。

 

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